読書日記(書評や読書メモなど)

読んだ本の記録です。書評やそれに類する読書メモなど。主なジャンルは、「教養」「ビジネス」「教育」です。仕事柄、財務や会計、教育関連の本が多くなるかもしれません。

運は創るもの (似鳥昭雄 著)

ニトリホールディングス社長の似鳥氏による一冊。

もともとは日経新聞の「私の履歴書」で連載されていたものに加筆したもの。

一代でニトリを今の規模にまで成長させた軌跡が書かれています。

似鳥氏は幼いころは家庭環境など、かなりの苦労がありました。また、ニトリ創業後もあまり深く分析せずに突っ走る部分があるので何度も失敗をしていますが、フロンティア精神が日本で唯一ともいえる家具・家財分野のSPAを確立した要因ではないかと感じました。

著者は飲みの席やゴルフも好きなようですが、「自分がよければそれで良い」というタイプではなく、家族や従業員のことも考えるタイプのようです。

 

「はじめに」に大事なことが書かれています。

「成功の秘訣は何ですか」とよく聞かれるが、ロマンとビジョンを掲げ、「他社より5年先をゆく」経営を進めてきた結果だと自負している(p1)

理念や目標がしっかりと定まっていると、仕事を進める上での軸ができます。

 

賢くないので、あれこれとリスクは考えずに突っ走ることができた。(p3)

自分が賢いと言う気はありませんが、どうしても先を考えてしまうので、著者のように思い切って突っ走ることができません。これはタイプの違いで優劣が付くものではなく、役割が違うと理解しています。

 

ここまでニトリを成長させることができたのは80%が運だと思っている。だがそれは偶然の産物ではない。「運は、それまでの人間付き合い、失敗や挫折、リスクが大きい事業への挑戦など、深くて、長く、厳しい経験から醸成される」というものでもある。(p4)

運を呼び込む方法、マインド、行動はあると思います。

 

そしてその他に「そうだよなぁ」と思ったのが、著者の父親の言葉。

父はあまり成績のことを言わなかった。「おまえは頭の悪い人間が結婚して生まれた子だ。だから勉強ができないのは当たり前だ」というのが理由だ。もっとも後がある。「だから人より努力するか、人のやらないことをやるかだ」(p33)

 いわゆる「頭の良さ」は、あったほうが良いものですが、人生を良く過ごすために必須のものではない、と、最近思います。

ニトリも一時期外様役員に実権を握られそうになった時もあったようですが、似鳥氏よりも”優秀”な人材を雇用することで会社を大きく成長させていったようです。

やはり、私利私欲・自分一人の力だけでは成長に限界があり、世のため、関係者のためになることは目に見えない力を得られるようです。

 

それにしても市原市の八幡店が本州進出2店目だったことを知り、少し驚きました。そして本書にも書かれていましたが、店があった前の道路(平成通り)が、いつまでたっても16号までつながりません。(きっと地主がらみの問題でしょう)