読書日記(書評や読書メモなど)

読んだ本の記録です。書評やそれに類する読書メモなど。主なジャンルは、「教養」「ビジネス」「教育」です。仕事柄、財務や会計、教育関連の本が多くなるかもしれません。

世界のエリートが学んでいる哲学・宗教の授業

佐藤優氏が筑波大学で行った講義を元にした一冊。

 

氏の読書量・知識量は膨大でこの本の中にも、私が知らなかったことがたくさん出てくる。

なかなか一読しただけでは理解できないが、哲学を学ぶことは決して無駄ではなく(でも実践が必要)、また、西洋人の考え、行動を理解するにはキリスト教を知っていることが必須ということはわかった。

この本に書かれていることで、一番重要であると感じたことは「アナロジーの力」

235ページにはこんな記述がある。

 社会現象や国際情勢の分析でも類比的な思考を使うことで、実証だけではわからない構造が見えてくることがよくあります。

 たとえば、歴史を振り返って見ると、強国が群雄割拠する帝国主義の勃興には「覇権国家の弱体化」が伴います。かつてイギリスが覇権国家だった時代は、自由貿易の時代でした。しかし、イギリスの力が弱くなると、ドイツやアメリカが台頭し始め、やがて群雄割拠の帝国主義の時代が訪れました。

 一方、現在も、2001年の同時多発テロ事件や2008年のリーマン・ショックを経て、覇権国家だったアメリカの弱体化が明らかになってきた。すると今度はロシアや中国が露骨な国益を主張するようになりました。このように類比的に見ることで、現在をかつての帝国主義を反復する「新・帝国主義の時代」と捉えることができるのです。

と。

歴史に限らず、自分が使える知識や経験を増やすことで類比する際に使える材料が増えるはずだし、類比も使えば使うほど、比べる対象のチョイスの精度が上がるはず。

やはり、アプトプットもインプットも重要ということか。